長期債と短期債のリスクやリターンを比較してみる

こんにちは、悪口と資産運用が大好きな悪口投資家です。

waruguchinvest.hatenablog.com

以前、長期債と短期債のリスクについて数式をごちゃごちゃ書いて説明した*1。 今回は、数式なしで過去のデータの話をしていこうと思う。

使用データ

tradingcharts.com 今回も持っているデータの都合上、↑のサイトから購入した先物のデータを用いる。 期間は1991年12月~2020年10月*2である。

見ていく先物は、

の4種である。

2年債先物 5年債先物 10年債先物 30年債先物
2年債先物 1 0.93 0.85 0.71
5年債先物 0.93 1 0.97 0.86
10年債先物 0.85 0.97 1 0.93
30年債先物 0.71 0.86 0.93 1

4つの年限の相関は↑の通りで、いずれもほぼ同じように動くことがわかる。 特に近い年限同士は非常に高相関である。

長期債はコスパが悪かった

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米国債先物4種の累積リターン
↑のグラフを見ればわかる通り、年限が長くなるほどリターンが出ている。 また、年限が長いほどグラフがギザギザしているのもわかるだろう。

2年債先物 5年債先物 10年債先物 30年債先物
年率リターン 1.3% 2.8% 4% 5.2%
年率リスク 1.6% 4.0% 6.0% 9.9%
リターン÷リスク 0.78 0.7 0.66 0.53

統計値を見れば、年限が長いほどハイリスク・ハイリターンであることがわかる。 ただし、リターン÷リスク(リスクあたりのリターン)で見ると、年限が短いほど値が高い。 つまり、この期間は長期債ほどコスパが悪く、レバレッジを掛けた短期債に劣っていたということである。

年限が短いほど政策金利の影響を受ける

イールドカーブの左端(最も短期の金利)は政策金利であり、中央銀行がコントロールしている*3。 年限が近い金利(債券価格)同士は強く相関するので、年限が短い債券ほど政策金利の影響を強く受ける。 歴史的な低金利環境が長引いた場合、短期債のリターンはほとんど見込めないかもしれない*4

*1:数式メインのせいかアクセス数が非常に悪かった。入力めんどくさかったのにクソが。

*2:手元にある分全部。

*3:短期金利だけでなく10年金利もコントロールしている国もある。日本には、四季があるし、マイナス金利もあるし、イールドカーブコントロールもあるのだ。

*4:ただし、リスクもほぼ消えるかもしれない。