分散投資のご利益を計算してみる

こんにちは、悪口と資産運用が大好きな悪口投資家です。

今日は分散投資のご利益を簡単な計算*1で説明してみようと思う。

簡単な計算

として、 r_pの分散を計算してみると、


Var(r_p) \\
= Var\left(\sum_i \frac{1}{N} r_i\right) \\
=\frac{1}{N^2}\sum_{i, j} Cov(r_i, r_j)\\
=\frac{1}{N^2}\sum_{i\neq j}Cov(r_i, r_j)+\frac{1}{N^2}\sum_{i}Var(r_i)\\
=\frac{N(N-1)}{N^2}\overline{Cov(r_i, r_j)}+\frac{1}{N}\overline{Var(r_i)}\\
=\overline{Cov(r_i, r_j)}+\frac{1}{N}\left(\overline{Var(r_i)}-\overline{Cov(r_i, r_j)}\right)\\

となる。

計算結果からわかる分散投資のご利益

 Nが十分大きければ、 Var(r_p)\approx\overline{Cov(r_i, r_j)}となって、第2項は無視できる。すなわち、十分に分散投資をすれば、第2項のリスクを消すことができる。これが分散投資のご利益である。

逆に言うと、分散投資をしない(=集中投資をする)ということは、わざわざ第2項のリスクを取りに行くということである。無能*3が集中投資をすると、リターンはせいぜい平均程度にしか期待できないにも関わらず、リスクは第2項の分だけ増えてしまう。だから、無能は自意識を捨てて分散投資をした方がいい。

分散投資で消せないリスク

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消せるリスクと消せないリスクの図*4

↑の図からもわかるように、どれだけ分散投資をしたところで、第1項の(共分散に由来する)リスクは消すことができない。

また、共分散 Cov(r_i, r_j)=\rho_{ij}\sigma_i\sigma_jであるが、市場がヤバいときは標準偏差 \sigmaも相関 \rho_{ij}も跳ね上がりがちなので、トリプルパンチでリスクが跳ね上がることになる。 分散投資をしていても時々悲惨な損失を被るのはこのためである。

積立インデクサーの方々はこのあたりの理屈をきちんと理解した上でインデックスファンドをご購入してらっしゃるんだろうな〜

*1:人と会話するよりも計算する方が得意な皆さんにとっては簡単なはずである。計算よりも人と会話する方が得意な皆さんには高い入金力があるはずなので、細かい計算などは気にせず入金力で殴っていけばよい。

*2:均等でなくてもウェイトが 1/Nのオーダーであれば問題ない。時価総額ウェイトの場合は(たぶん)問題があるが、 \betaとか出てくる似たような議論で似たような結論は出てくる(はず)。

*3:大半の人間のこと。

*4:図の出典 https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1812/21/news055_5.html