株と債券が逆相関なのはあくまでここ20年くらいの話

こんにちは、悪口と資産運用が大好きな悪口投資家です。

ちょっとアセットアロケーション等について調べると「株と債券は逆相関だから分散投資すると最強!」みたいな雑なブログがヒットしたりする。 www.nikkoam.com

というか、↑のようにプロも「これまで多くの商品を組成してきましたが、ここまでの逆相関はあまり見たことがありません。」とまで言い切っている。 しかし、実はこの関係性は長期にわたって成立してきた関係ではないので、データを見ながら説明していこうと思う。

2000年以降の相関

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2000年以降の株と債券のリターン
↑は、2000年以降の株(S&P500先物)と債券(米国10年債先物)のリターンを散布図にしたものである*1。誰がどう見ても明らかな逆相関で、相関係数を計算すると-0.3程度である。確かに「ここまでの逆相関はあまり見たことがありません。」と言いたくなるのも納得である。

1982年~1999年の相関

では、もっと昔も同様の関係が成り立っていたのであろうか?*2という訳で、1982年~1999年のデータ*3でも同様の散布図を描いてみる。

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1999年以前の株と債券のリターン

こんな逆相関見たことない(順相関なので)!ちなみに、相関係数は0.3程度である。

という訳で、「ここまでの逆相関」が見られたのはここ20年くらいの話であり、その前の20年弱は順相関であったことがわかった。 「ここまでの逆相関はあまり見たことがありません」さん*4は、20年以上前のデータは見たことがないのだろうか……

資産間の相関は一定ではない

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株と債券の1年ローリング相関係数
↑は株と債券のリターンの1年ローリング相関係数*5である。 図を見ればわかるように、2000年前後で相関係数がプラスからマイナスに転じている。 また、相関係数は常に安定した値を取るわけではなく、その時々によって値が変わっている*6

市場環境次第で、以前のように株と債券の相関が恒常的にプラスに転ずる可能性もある。分散投資を行うのであれば、定期的にマーケットの現状を確認した方が無難である。

*1:尚、外れ値があると図が伸びて見づらいので、散布図からは外してある。相関係数の計算では外れ値も含めている。

*2:反語的表現。陰キャは反語的表現が大好き[要出典]。

*3:私が持っているデータが、1982年6月以降なため。

*4:https://www.nikkoam.com/files/sp/3x3/pdf/3x3Magazine.pdf の9ページの人。90年代から業界にいるようである。

*5:各時点での直近1年のデータから計算した相関係数の系列のこと。

*6:1年ローリングという計算方法にも原因はある。